チョムペットへの訪問(栄養プログラムの様子)

クリニックにて

8月29日の午前7時、私たち5人はメコン川を渡るフェリーに乗って出発しました。フェリーの中はにぎやかです。午前7時は多くの国で朝早いかもしれませんが、ラオスでは僧侶が托鉢を始めるために、多くの寺で午前4時半には鐘が鳴ります。また農民も暑さを避けるため、午前7時には田んぼに向かいます。(午前7時で既に26度ありますが…)

私たちはビジネスパートナーシッププラットフォーム(BPP)プロジェクトの一環として、オーストラリア外務貿易省(DFAT)、州の保健局(PHD)、北部農業大学(NAC)と協働しています。 このプロジェクトの目的は2つあり

・水牛の繁殖を改善すること

・飼育方法を改善すること です。

これはミルクを搾乳できる健康な水牛の育成に繋がり、村の子供達やその家族にとって、今まで摂取できていなかった貴重なたんぱく質やカルシウム、エネルギー源となるのです。

BPPプログラムをラオス北部の5つの村で実施することができ、そのうち3つはチョームペット郡にあります。22 kmの道のりですが道路状況が良くないため、雨が降っていない時でも車で1時間以上かかります。梅雨の時期にはさらに1時間かかるか、時には雨が止むまで2〜5日待たないといけないこともあります。

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州の保健局(PHD)は、Ngiewにあるクリニックで四半期ごとに健康診断を実施します。 5歳未満の子供の3人に1人が慢性的に栄養失調で、身体的および発達上の問題を引き起こします。PHDは村を訪れ、すべての子供たちの体重測定をし、母子の健康に関する教育を実施します 。クリニックには多くの人が訪れ、水牛ミルクを使った料理教室も行いました。

料理タイム

ラオスでは一般的に牛乳はあまり飲まれませんが、水牛は田んぼを耕し、何千年もの間、食肉用に販売されてきました。 COVIDによる封鎖制限が実施される直前の3月、ラオスバッファローデイリー(LBD)に協力してくれた地元の学校の村長、カンペン氏、フン氏、ピエン氏に会いました。彼らは農場で学んだミルクの搾乳方法や、ミルクを使った調理方法について村で実演してくれました。今回の訪問では、LBDがミルクを提供しましたが、彼らがいることによって、彼ら自身でミルクを利用できるようになります。刻んだバナナと塩を少しだけ入れて、紫米をミルクで煮込むというシンプルなレシピを作りました。紫米はラオスでは主食ですが、それだけでは栄養価は非常に限られています。

最初に火をつけ、ボウルとスプーンを洗い、バナナをスライスします。子供たちの中には、見知らぬ大人が村に訪れ、体重を量ったり測定したりすることを怖がる子たちもいます。ただし、看護師長の許可の下、美味しいリコッタケーキをあげれば、怖がる子供たちの気を晴らすこともできます。ご飯の準備ができると、少しためらいながらも、一口食べればそのためらいも無くなったようです。出席できなかった家族や友人のために、料理を持ち帰る人もいました。

ビデオ鑑賞会

4半期に1度のクリニックで開かれる母子の健康のためのイベントでは、参加者と見物客も含めて非常に多くの村人が集まり、楽しく様子を見守ります。ある日は、39人の子供たちとその親、24人の農民が出席しました。

子供たちの体重測定を行っている間に、世界銀行によって制作された2つのビデオを上映しました。最初のビデオは、ミルクの利点を説明し、村人の不安を払拭するためのものです。搾乳したミルクは使用前にしっかりと沸騰させないといけないことも伝えました。

次に、繁殖、飼料、予防接種、搾乳のプロセスなど、水牛を育てるための技術についてのビデオを紹介しました。

ミネラルブロックについて

ビデオでは、牛用のミネラルブロックと薬用ブロックについても説明しました。

・乾季に必要な追加のビタミンとミネラルを簡単に与えることができる

・肝吸虫の発生率を減らす

・温室効果ガスの排出を減らす

という利点がこのブロックにはあります。

各ブロックの重さは20キロで、1匹の水牛に与えるとその効果は約3か月続きます。別のBPPの取組みから生まれた、新しいビジネスの一環として、AgCoTech Laosは、炭素を排出する代わりにミネラルブロックを無料で生産し、地元の農家に配布します。農民の多くは、朝畑から戻って診療所に通い、動物用のミネラルブロックを嬉しそうに受け取っていました。これらのブロックは全て、受け取った者によってしっかり活用されることを保証するための議定書があります。今回そのための事務処理をするのが初めてだったので、農民たちと楽しみながら、時折写真を撮ってフォームに記入していきました。

搾乳エリア

最後のブロックが畑に無事持っていかれたので、今度は村の反対側に歩いて行き、フェンスで囲まれ、LBDから持ってきた植物が豊富に植えられた、搾乳のためのエリアの状況を確認します。一晩降り続いた雨のために、そこにたどり着くまでには小川が出来ていました。水は背の高い私でも膝の上ほどまであり、ラオスの人々にとっては太ももの高さくらいまでありましたが、彼らにとって田んぼに行くまでに毎日通る道なので驚きはないようでした。水はかなり冷たかったですが、泳がずにはいられませんでした!

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田んぼを通って、搾乳のためのエリアにたどり着きました。水牛にとって非常に良い場所だと感じました。田んぼ、なだらかな丘、そして背景には小川が流れています。雨も適度に降り、餌となるナピアグラスの成長も順調ですが、雑草も生えているので、プログラムに参加している25世帯の家族全員が数日集まり、草刈りをしました。そのおかげで、その後雑草の問題は発生していません。

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建築のために必要な材料と、いつ建築を開始するかについてさらに話し合いが続きます。Khampengさんは、「10月は稲の収穫があり、皆が非常に忙しいので、9月が最適な時期だ。」と提案してくれました。ラオスでは11月から始まる乾季に、多くの仔牛が生まれるため、その点でも9月は良いタイミングです。建設時期とやることリストを話し合った後、私たちは村に戻り、トラックで農場に帰りました。

遅めのランチ

一日中仕事をし、歩き続けてくたくたでしたが、フェリーに乗り込む前に地元で非常に有名な、道端の小さなレストランで美味しいフォーを食べました。皆夢中でフォーを食べ、いつものようにSongkhamは多めのチリソースを入れて、41度という気温の中で、熱いスープを泣きそうになりながら喜んで食べていました。誰もが片手にスプーンを持ち、もう片方の手では携帯電話を持っています。この光景は、世界のどこでも同じだな、と感じました。